小児科 乳児湿疹
乳幼児湿疹について
乳児湿疹は健康保険適用の病名として記載はありますが、医学的には病名ではなく乳児の肌トラブルの総称です。代表的な乳児湿疹には、新生児ざ瘡、乳児脂漏性皮膚炎(乳児脂漏性湿疹)、皮脂欠乏症・皮脂欠乏性湿疹、おむつかぶれなどの接触性皮膚炎があります。乳児は生後半年頃まで皮脂分泌が盛んで、その後は急激に減少するため皮膚トラブルを起こしやすくなっています。
新生児ざ瘡
赤ちゃんにできるニキビが新生児ざ瘡です。20%の乳児が発症し、生後数ヶ月でほとんどの場合は自然になくなります。
原因
生後半年くらいまでは赤ちゃんの皮脂分泌が盛んなことから、ニキビを発症しやすくなります。また、発症には常在真菌のマラセチアの関与も指摘されています。
治療方法
毎日入浴してよく泡立てた石鹸で優しく洗い、丁寧にすすぐという適切なスキンケアを続けましょう。改善しない場合や、スキンケアの方法がよくわからない場合には、ご相談ください。
乳児脂漏性皮膚炎(乳児脂漏性湿疹)
皮脂分泌が多い頭部・顔・わきの下・首周辺に黄色っぽいかさぶたのような痂皮ができる疾患です。魚のウロコのように見えることもあります。
原因
皮脂の過剰な分泌によって起こっています。常在しているマラセチアなどの真菌の関与によって悪化する場合があると考えられています。
治療方法
1日1回入浴時にケアします。入浴の30分前に痂皮へワセリンやオリーブ油を塗り、浸軟してから入浴してよく泡立てた石鹸で優しく洗い、十分にすすいでください。状態によっては、軟膏などを処方することもあります。
(しかし、治っても繰り返し症状が出る赤ちゃんが多いです。気長に付き合っていく場合があります。)
皮脂欠乏症・皮脂欠乏性湿疹
皮膚表面が乾燥してしまっている状態が皮脂欠乏症であり、悪化して湿疹が生じている状態が皮脂欠乏性湿疹です。なお、かゆみをともなう湿疹が続く場合はアトピー性皮膚炎の可能性がありますので、悪化させないためにも早めに受診してください。
原因
生後半年を過ぎて皮脂分泌が急激に減少すると、皮膚の水分蒸発を防ぐものがなくなるため肌の水分量が減ってしまいます。皮膚の乾燥が続くと皮膚バリア機能が低下して湿疹を発症します。
治療方法
スキンケアで皮膚の保湿をしっかり行って、同時に部屋の湿度を保つようにします。冬期は特に乾燥しやすいです。出来る範囲で湿度を保ち、スキンケアでは、医師処方で出されるヘパリン類似物質など保湿力の高いものを使ってください。
当院では、その他にも病院のみで販売される保湿剤をご提案出来ます。
お気軽にお声がけ下さい。
おむつかぶれ
おむつで覆われる部分の皮膚がかぶれて、ただれ(びらん)などを起こしている接触性皮膚炎です。よだれなどで口の周囲にかぶれが起こるのも接触性皮膚炎の可能性があります。かゆみ、痛み、出血などを起こすこともあります。
原因
おむつによる蒸れ、皮膚に残った尿・便の刺激などによって皮膚がかぶれています。
治療方法
正しいスキンケアやこまめなおむつ交換を心がけてください。また、おむつを取り替える際に強くこするように拭くのは厳禁です。症状が強い場合には受診してください。治療は、ワセリンや亜鉛華単軟膏を主に使いますが、ただれを起こしている場合にはステロイド含有軟膏を用いることで短期間に改善できるようにします。