頭の形外来
頭の形外来
以前は、頭の形が悪いことは、一般的なことであり、治療の必要はないと考えておりました。
しかし、頭のかたちを気にされるご家族がとても増えております。
歯の矯正や、イチゴ状血管腫の治療、耳介形成不全の治療の様に、時代の変化に伴い、治療が一般的になる傾向がある病気があります。その一つが、頭の形の治療だと考えております。
ヘルメット療法は、安全で、確実に治療出来る方法です。また、その他の症状に対しても、多くの研究がされており、今後も研究が進む分野です。
頭の形が良くなったお子さまは、将来ご親権者さまに感謝されるものと容易に想像がつきます。
背景
赤ちゃんは、産まれる時に産道を通りやすくするために、頭が柔らかく骨が複数のパズルのように組み合わさった構造をしています。
さらに、生後1ヶ月~2年の間に劇的に成長していくために、骨と骨の間に隙間があると考えられています。柔らかく隙間があるこどもの頭は、1歳半くらいまでは向き癖などが影響して簡単に形が歪んでしまいます。
1992年以降、うつぶせ寝が乳児突然死症候群(SIDS)に関連しているとして、うつぶせ寝が避けられ仰向け寝が推奨されるようになりました。このような傾向から、乳児の突然死は減少したものの子供の頭の形は重力などの影響で1歳未満では大部分で形が歪んでいるとされています。
治療概要
寝返りなどができるようになると、ほとんどのお子さんは自然にゆがみが解消されていきますが、高度な歪みがあると自然に治すことが難しいです。
赤ちゃんの頭の形を歯列矯正のように治してあげたいというご家族の思いから、矯正ヘルメットによる頭蓋形状矯正療法という治療が行われるようになりました。
アメリカでは、2000年頃からこの治療法が行われています。近年、日本でも日本人の赤ちゃんの頭の形に適した矯正ヘルメットによる治療が増えてきています。当院でも、日本で開発された矯正ヘルメット(クルム及び、アイメットhttps://japanmedicalcompany.co.jp/aimet/?gclid=Cj0KCQjwmdGYBhDRARIsABmSEeNM5pZHmHdqCvZYm7wuldRM51hICcwFA80dbbtfg5RNP65yMwJ8n0caApGkEALw_wcB)による治療に対応しています。欧米人に比べて首が細い日本人の赤ちゃんのために軽量化された矯正ヘルメットの内側には、特殊な低反発のクッションが備わっているので、ヘルメットを装着したときの不快感があまりなく、首が座っていない赤ちゃんでも装着が可能です。
頭蓋形状矯正療法は、歯の矯正治療と同様に自費診療となります。お子さまの頭の形が気になる方は、お気軽にご相談ください。
治療開始時期の目安
当院におけるヘルメット療法の開始月齢は、生後3か月~6か月としております。
ヘルメット療法は、斜頭、短頭、長頭を対象としております。各々の重症度の評価は、3Dスキャンにて行い、軽症であれば自然治癒の可能性が高く、それ以上の場合、自然治癒は難しいです。ヘルメット療法により期待できる効果は、頭部を左右対称に、バランスのとれた頭の形に近づけることです。
重症度によっては、ご期待される完全な形まで治療出来ないこともあります。
副作用
ヘルメット療法の副作用は、皮膚トラブルがあげられます。
また、1/3000人頭蓋骨早期融合症の方がいます。ヘルメット療法開始後であっても症状を認める場合、小児脳神経外科のある病院へご紹介となり、ヘルメット治療を継続出来ない可能性があります。
注)頭蓋骨早期融合症が疑われる場合、出来るだけ早く連携病院である東京慈恵会医科大学付属病院小児脳神経外科にご紹介させて頂きます。
治療の流れ
1問診
まずは問診でお話をお伺いします。ヘルメットによる矯正治療について詳しくご説明いたします。不明点などがございましたら、お気軽にご質問ください。webにて頭の形外来枠をご予約下さい。ご相談をお受けしております。
2頭部レントゲン撮影(撮影を行わない場合もございます。)
現時点における、頭蓋形成上の問題がないか、チェックいたします。(ここまでは保険適応です。)
3頭の形を測定(初回3Dスキャン):有料1万円(税込)
治療が適応となった場合、ご家族の希望が固まったことを確認し、ヘルメットを作成するために3Dスキャナーで頭の形を測定します。日程、枠が決まっております。(この検査のみを希望される場合も自費有料*1万5千円です。)現時点では、月曜日の特定された日のみに検査、張替えをしております。
結果は、数日以内に外来にてお伝えいたします。
3D撮影から1週間以内指定日までに、ヘルメット作成されるかどうか決めて頂きます。
同意書にご親権者のサインをして頂き(ご親権者さまにご都合がある場合、お気軽にご相談下さい)、ご提出頂き、申し込みとなります。
お申し込みと同時に、55万円(税込)お支払い頂きます。※クルムフィットからヘルメット値上がりの為値上がりしております。(各種カード、電子マネーなどもご利用頂けます。)
(3D撮影から1週間以上経過した後、ヘルメット作成を希望される場合、再度3D検査が必要となり、3D撮影費用が再度掛かってしまいます。)
オーダーメイドのヘルメットですので、同意書にてお申込み頂きますと、キャンセルできず、返金できません。ご家族にてよくお考え頂いたうえで、お申込み下さい。
4ヘルメットの作成
3Dスキャナーで測定した頭の形のデータから、オーダーメイドの矯正用ヘルメットを作成します。
5治療開始
3Dスキャナーで測定してから3週間程度でヘルメットが完成します。ヘルメットは、様子を見ながら出来るだけ長く装着していきます。
最終的に1日に23時間を目標に装着していただきます。装着は、頭が床に着いている就寝中が最も効果を得られます。
装着開始から1ヶ月ごとに受診して頭の形を確認し(現時点では、月曜日にご受診頂きます)、ヘルメットの内側にある低反発クッションを調節していきます。
1回の診療料(院内にてのクッション貼替代+交換用クッション代を含む)として3,500円(税込)がかかります。
6治療完了
平均で5か月から1年程度の装着期間で矯正が終了します(治療期間には個人差があります)。
目安として、成長と共に頭蓋骨の継ぎ目の大泉門(だいせんもん:おでこの上の前頭部中央あたり)が閉じて、頭蓋骨が硬くなると治療終了となります。
全体としての価格は、60万円に届かない程度となります。外来の回数により変わります。